ダービー卿CT回想

 柴田善臣騎手、本年重賞初制覇。

 重賞に乗ること18回、うち1番人気2回。スプリングSペールギュントはともかくとして、単勝1.4倍のアイルラヴァゲイン、つけ加えると昨年このレース単勝1.9倍のウインラディウスを飛ばした彼がダイワメジャーで1着。手元にある重賞データブックではこのレースのページに「買えない馬:柴田善臣騎手騎乗馬」などと酷いことが書かれていたりもするけれど、さすがに今回は、1番人気:病み上がり、2番人気:五十嵐(JRA)、3番人気:自分、4番人気:津村、のオッズを見ては奮起せざるを得ないか。

 スタートして内のトレジャー、シルキーラグーンが控えなかったために、おそらく前に行きたかったダイワエルシエーロが内に2頭を置いたまま2コーナーへ。入り口で外からダンツジャッジが強引に前に行こうとしたために、内のシルキーラグーンとはさまれる形になったエルシエーロが後退、ついでにダイワメジャーが進出してくる。

 バックストレッチはダンツジャッジが先頭、その外後ろ半馬身の位置にダイワメジャー、さらに外ダイワエルシエーロ、さらに外フジサイレンス。途中でメジャーが左に首をかしげながら外に膨れていって、エルシエーロを煽ったように見えたのはどういうわけか……、いやいや。隊列はそのままの態勢で4コーナーから直線へ。直線で外からダイワメジャーが内に切れ込んでダンツジャッジに身体をぶつけるように見えたのは……。

 レースは道中11.5秒のペースが息も入らずに、直線まで仕掛ける馬もなく続く。こういった競馬は皐月賞で示したとおり、ダイワメジャーの本領。ノドの手術も上手くいったようで、4歳世代のGⅠ牡馬の復帰は喜ばしいところであります。とはいえこの馬がGⅠをどうこう言うには××が……

 2着のチアズメッセージは後ろから末を生かす競馬。母父のしぶとさと父の瞬発力が功を奏したのかしら。なにやらこれで田中勝春騎手が今年になって中山のハンデ戦を4戦4連対とか。アメリカみたいにハンデGⅠがあれば。

 トレジャーは道中逃げるダンツジャッジ後ろの最内でまったくロスのない競馬。外を走っていたシルキーラグーンが4コーナーで遅れて空いたスペースに持ち出して、先に抜け出したダンツジャッジの後を追い、最後で外の馬に交わされて3着。このところ調子が良かったらしく、好条件のレースでもあったし、まあまあの結果。

 フジサイレンスは連戦の疲れというより、時計の問題か。1:33.0を切る決着の初富士Sでも最後ついて行けなかったので、このあたりの時計が限界かもしれない。道中ダイワメジャーに煽られたダイワエルシエーロに、さらに煽られたりしてたのも気になる場面。

 ミッドタウンは道中の位置取りが後ろ過ぎた。切れる脚がないので前にいなければならなかったが、中山芝1600mの大外もあったし、今日はなかなか前に持っていける流れではなかった。これは不運。

 ダイワエルシエーロはドンジリだが、あれだけ道中もまれて不自由な競馬では無理もなかった。広い競馬場に移れば違ってくるはず。