宝塚記念展望

 もしディープが負けるなら……

 落馬とか故障とか、競争中止ではなくディープが負けることだって、そりゃ当然ありうる事態。能力が図抜けていることは疑えない話ですが、有馬記念ハーツクライの後塵を拝したように、生き物である以上完璧、完全、絶対ということはありえない。ディープインパクトを負かす馬が12頭の中にいるならば、その可能性が一番高いのはどの馬なのか、考えることは無駄ではない……かなあ?

 前例から推測するなら、やはり前に行く馬の中から選ぶのが無難なところではありましょう。ディープの戦法は「まくり」なので先行馬は潰される可能性が高いのですが、かといって後ろからディープ以上の上がりを使うのは容易なことではありえません。なにせ相手は2400mを走った後でラスト4Fを44.8秒で上がってこれる怪物、これをさらに後ろから差しきるには、直線をすべて1F10秒台で走らなければまず無理。まあ、これは不可能っぽい数字であります。

 ならば、ディープにしろ他の馬にしろ、1Fを12秒台で走っている中間のラップを11秒台で走り、なおかつラストまで11秒台、どんなに遅くとも12秒台前半でまとめることの出来る馬がディープに勝てる可能性があるかも、と考えられます。

 と書けばピンと来る方もおられると思いますが、コスモバルクセントライト記念で走ったラップが、

12.2-11.2-11.6-11.9-11.9-11.9-12-12-11.9-11.5-12(2:10.1)

 中山競馬場の坂もあってのこの数字ですから、京都ならラスト1Fをさらに縮めることも可能なはずで、ディープが4Fを44.5秒で上がれると仮定して、バルクが坂のぶんだけ0.5秒早く走れるとすれば4F46.9秒、2.4秒差ですから、3コーナーで12馬身ほど差をつけて通過できれば……

 前走が海外遠征というだけでなく、検疫で問題があって帰国が遅れたりと不安な話はありますが、鞍上が唯一のJRA外の五十嵐冬樹騎手というのは、特に根拠のある話ではありませんが、この際強調できる材料。

 社台にあらずばなんとやら、状態だった中央競馬も、今年は日高地方の中小牧場が活躍している傾向がありますし、途中で変わっている時期はありましたが、コスモバルクの相棒と呼ぶにふさわしい騎手でもありますし、もし「一発」があるとすれば推せるのはこの馬でないかなあ、との本日の結論。