マーチS回想

 1番人気タイキエニグマは、時間がかかるゲート入りにイライラしたのか前掻きし始めて、扉が開いたら両脚を上げてしまった。これで調教師のコメントどおり走るリズムに乗れなかった。深秋特別の大敗と同じで参考外。

 出遅れたタイキエニグマのすぐ外からブラックコンドルユートピアと逃げ先行脚質の馬がすんなりと出て、外からクーリンガーが内に切れ込んできて3番手、大外からサカラートがやって来てクーリンガーの外側につける。この4頭が前後に半馬身くらいずつ雁行して先団を形成し、終始レースが進んでいった。つまり、ブラックコンドルユートピアクーリンガーサカラート、の順で長い距離を走っていたことになる。勝ち時計の1:52.0は良馬場のOP級なら悪くない時計、近走の調子と実力がモロに問われるレースとなった。こういうレースで距離損があればそれだけで不利になる。

 中山のダートは砂が深く小回りなので、ローカルや地方のダートコースに似ている、その地方の交流重賞で重賞4勝と活躍するクーリンガーは走る前から適性があるとわかっていたはず。人気もあまりついていなかった(6人気!)し、ここは狙いどころだったといまさらながらに悔やまれる。少なくともウインブレイズ(見るところまるでナシの15着)のスペシャルな一発に期待するよりはるかに気が利いていた。

 3着のユートピアの前走は参考外の一戦であった、とはいえ東京大賞典では同斤のクーリンガーに1.5kg差だから、今回はそのぶんがモロに出た形。中央の別定やハンデ重賞だとGⅠの重みがあって、これからも勝ちきるのは難しいかもしれない。

 サミーミラクルは離れた最後方を追走から直線だけで10馬身以上の差を一気に縮めて2
着。最近のダートではまるでエンシェントヒルのような末脚。もっとも、個人的な印象、こんなレースぶりではとても買っていられない。今回はレースがHペースで嵌ったふしもある。

 2番人気のサカラートは大外&良馬場の重賞では分が悪かったか。重馬場でのスピードはレコードが示すとおりで、次走? のアンタレスSでは是非とも一雨を希望したいところ。アフリート産駒だが母父のサンデーサイレンスがパワーをの代わりにスピードを与えた印象。

 ブラックコンドルは馬体重減もあったろうが、この相手とがっぷり四つで勝負をするには実力が足りなかったか。