5回東京8日

 負けられない戦い。これがディープインパクト陣営の心境でしょうが。

 いろいろな意見はあると思うけれど、凱旋門賞の3着は正直に言って心外な結果であったし、その後の禁止薬物検出から失格への流れ、浅薄なメディアにはドーピングとの表現もとられ、ほんの二タ月前まで「英雄」とまで讃えられた歴史的名馬の英名はどこへやら、その上、今年かぎりで引退との発表で、既にシンジゲートまで組まれているというし、汚名返上、名誉を挽回する機会はジャパンカップ有馬記念の、もう2戦しかありません。いつも飄々としている騎手はともかく、会見に臨む池江調教師には後のない、悲壮感すら漂ってくる表情がありました。

 でも、別の見方をすれば、あと2戦ある、とは……

 今回ハーツクライに借りを返し、3歳二冠馬と三冠232着馬を退けて、有馬記念ではダイワメジャーを破る(ついでにハーツクライも負かして対戦成績を2勝1敗に)。やっぱこのシナリオがベストだよなあ。

 仮にここでなんかに負けたとすると、例えばハーツクライならば次の有馬記念で勝ってもトータルの対戦成績では劣ることになるわけで、名誉挽回とまではいかないでしょうし、ウィジャボードではいくら騎手の差があるとはいえ白けた結果で、仮にメイショウサムソンならば……、その場合相手の来年の結果如何ではありますが、やはりこれもイマイチな話。まあ、単純に春や昨年のパフォーマンスを思い出せば、ディープの相手になりそうな馬はハーツクライただ一頭のようには思えます。

 とはいえ、馬はナマモノですし、競馬には相手が。ほとんどの馬に勝負付けが住んでいると思われたシーキングザダイヤも、未知の魅力だけが頼り(?)のアロンダイトに9度目の涙。競馬の格言には「海外遠征帰り初戦はダメ」とかなんとかあったような気もしますし、相手筆頭のハーツクライも遠征初戦の上にノドがどうこういう話が聞こえてきて、もしかすると……

 フサイチパンドラの成績からカワカミプリンセスを除くと、オークス1着、秋華賞2着、エリザベス女王杯1着、しかも前走では京都2200mでスイープトウショウを破っているという点にも注目して、まあ、この比較にはいろいろとナニな話はありますが、去年の宝塚記念を思い出すと、パンドラ>スイープ>ハーツ、ついでに有馬記念までくっつけると凄いことになったり。

 日刊競馬から丸々引用すると「白井師=前走はレース後すぐに息が入った。あれでまだまじめに走っていないんだ。稽古の反応抜群。力を出し切りたい。」とかなんとか。負けられないディープインパクトが早めに、前を行くだろうハーツクライを捉えるとするならば、東京の長い直線、坂を駆け上がった300mに賭けてそれを差す可能性があるのは……、ドリームパスポートでも良いような気はしますなぁ……、いやいや、アチラの鞍上は強気に行くだろう岩田騎手なら、終い一発の競馬は不向きだろう、それに性別年齢はあるにせよ53kgの軽量、なにかあるとすればこの馬に違いない。

 と、低気圧がもう一日早く来てくれていれば思えたのですが、お天気予報ではやっぱダメか。能天気に初志貫徹もするとして、前日売りではコスモバルクより人気がないスウィフトカレントの、土曜に某馬が至芸を見せてくれたのに続いて、鞍上による職人芸を期待した二通りの馬券を。タマモホットプレイ複勝で返って来たぶんだけ買えるので。

フサイチパンドラ 単勝1000円 複勝1000円
スウィフトカレント−⑥ディープインパクト 馬連・ワイド各1000円