フェブラリーS回想

 トウショウボーラーが飛ばしたペースは1000m通過が57.4秒、武蔵野Sトウショウギアが1000m通過57.5秒、道中の後続馬との差を見ても、レースの流れはほぼ同じだったといえよう。カネヒキリは当時57kgを背負って上がり36.2秒で1:35.2、今回同斤量で35.7秒、1:34.9の走破時計が示すように、明らかにパワーアップしている。

 これでG1を4勝、ジャパンカップダートフェブラリーSを制した日本最強ダート馬がドバイWCに挑むことになる。ドバイのダートに対する適性は未知数だが、父親がサンデーサイレンス直子のフジキセキ、母の父は北米リーディングサイアーDeputy Minister、直前の追い切りではハットトリックと互角に渡り合っていたことなど、を考えると不安より期待のほうが大きい(まあ、毎年のことですが)。

 今年はシーマ・クラシックにハーツクライ、デューティ・フリーにハットトリックアサクサデンエンUAEダービーフラムドパシオン、等等と現役最強の面子が遠征に賭ける。一昨年の香港国際競争では「最強メンバー」がコケまくってくれたが、今年のドバイこそ、は。

 2着のシーキングザダイヤはこれでG1・2着を7回、今回は相手が強すぎたきらいはあるが、これほど運のない馬も珍しい。とはいえ、今年はかしわ記念船橋1600m)、南部杯(盛岡1600m)、JBCマイル(川崎1600m)と、得意と思われる左回りのマイル戦が揃っている。森厩舎のダート馬よろしく国内で交流重賞に専念するならば、G1タイトル奪取は時間の問題だろう。ドバイでも2着、というのも正直見てみたいが……

 左回りのマイル戦、なら3着のユートピアも大の得意。勝ち馬と同じく次走はドバイに遠征予定との事だが、帰国してからも活躍の舞台はしっかり整っている、現在のG1・4勝から更にいくつ積む事ができるか、2着馬との掛け合いも含めて今年注目したいきたい1頭だ。

 ブルーコンコルドはラストまで伸びきれず4着。距離の問題というより、この馬は阪神で実績を残してきたように坂を苦にしないパワータイプ、最後1Fの平坦路での適性の差が現れたのではないか。坂はなくとも重い馬場、しかもコーナー4回の船橋、川崎のマイルならば勝算は十分にあるはずで、シーキングザダイヤのシルバーコレクトをアシストする存在になることを期待したい。

 5着のヴァーミリアンルメール騎手曰く「距離が短かった」とのこと、今後の路線は気になるが、アンタレスS東海Sあたりに出走してくれば当然に有力な1頭だろう。これらのレースで確実に賞金を加算しなければ帝王賞JBCクラシック等への道は開けないだけに、陣営も必勝を期してくるはずで、人気であっても要注目。

 本命のアジュディミツオーはまさかの出遅れから、差を詰めるだけで7着。全体的に早いペースになったために、底力もさることながら、道中の位置取りも問題になったのが痛かった。能力、実績から考えて先団にいるレースを見たかったが、これも競馬。今回でカネヒキリとは勝敗がついた形でも、未練がましいようだがもう一度、帝王賞での直接対決をぜひ見たい。

 当時より斤量が4kg増えたとはいえ、武蔵野Sのことを考えるとサンライズバッカスはこんなに負ける馬ではなく、乗り変わらせた陣営の判断がまずかったかしら。

 メイショウボーラーは使いすぎて馬鹿っぷりが戻ってしまったが、むしろこういう馬の方がドバイゴールデンシャヒーンなどで走るのではないか、と思ってみたりも。